ヘヴィ・ボウイの極地

デヴィッド・ボウイ『ウーヴレ・ル・シアン(ライヴ・ダラス’95)』
発売中
ALBUM
デヴィッド・ボウイ ウーヴレ・ル・シアン(ライヴ・ダラス’95)

どのタイミングで出されたとしても現在ほどこのライブをしっかりと受け止められただろうか。いわゆるボウイの代表曲的なものは殆ど取り上げられていないが、それが逆にこの時期の有用性を際立たせ、そこにまたもや〈天上ボウイ・プロデュース〉を意識せずにはいられない貴重な音源のリリースだ。久しぶりにイーノと組んで95年に発表したアルバム『アウトサイド』を持ち9月から翌96年2月まで北米、ヨーロッパを回ったツアーから、10月13日テキサス州ダラスの屋外円形劇場スタープレックス・アンフィシアターで行ったステージの模様。

当時ナイン・インチ・ネイルズなどの尖った音へ傾倒しており元ティン・マシーン、現ザ・キュアーのリーヴス・ガブレルスとカルロス・アロマーのツイン・ギターとゲイル・アン・ドロシーのベースを軸としたバンドは、極めてエッジの効いたサウンドでシャープなボウイ・ワールドを構築していく。とくに“アンディ・ウォーホール”、“壊れた鏡”、“ライオンのジョー”といった古いナンバーをこのバンドのテイストで書き換えたものがスリリングだが、なかでも“世界を売った男”のアレンジ、仕上がりは素晴らしく、本作のタイトルが同名アルバムに入っている“オール・ザ・マッドメン”の有名なフレーズからとられてるのも統一感がある。

ボーナス・トラックとして、96年のCDシングル“ハロー・スペースボーイ”に収録の12月13日にバーミンガム、ナショナル・エキシビション・センターで行われたライブでの“月世界の白昼夢”と“アンダー・プレッシャー”が加えられている。

どうせならライブ前半にあったナイン・インチ・ネイルズとの共演もと思うが、さすがにそれは厳しかったか。もちろんこれでも充分に濃密だ。 (大鷹俊一)



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デヴィッド・ボウイ ウーヴレ・ル・シアン(ライヴ・ダラス’95) - 『rockin'on』2020年9月号『rockin'on』2020年9月号
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