今年のカンヌ映画祭で初上映され話題となった、デヴィッド・ボウイのドキュメンタリー映画『Moonage Daydream』。その時に公開されたティーザーに続き、今日初の予告編が公開となった。こちら。
最初に公開されたティーザーはこちら。
監督のブレット・モーゲンがツイートしたところによると、この作品は世界各国のIMAXで9月16日に公開。日本は来年3月だそう。
監督は、カート・コバーンのドキュメンタリー『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』や、ローリング・ストーンズの『Crossfire Hurricane』も手がけているが、今回の作品の何がすごいかというと、ボウイの財団からボウイが人知れず保管してきた数十年分の未公開映像全てにアクセスする許可をもらったということ。さらに、40曲のリマスターした音源も使用可能だった。この作品は、ボウイ初の公式ドキュメンタリーで、映画は、ボウイ自身がナレーションしている。
私はまだ観ていないのだが、ありきたりのドキュメンタリー映画ではないようで、今回IMAXで上映となったのも、これが映像と音を体感するような作品になっているからだ。
いくつかのインタビューに答えて、監督が今回の作品について語っていた。
●彼が監督することになって経緯について。なぜこれまで誰も観たことのなかった映像全てを使用できる許可をもらえたのか?
「僕は、2007年にボウイに会って、ハイブリッドなノンフィクション映画を作りたいと言ったんだ。僕のアイデアでは、ボウイ自身が映画に50日間参加しなくてはいけなかった。彼は、僕のアイデアはすごく気に入ってくれたんだけど、でもその当時彼は半分引退していたようなものだったから、タイミングがよくなかった。それで2016年にデヴィッドが亡くなった時に、僕のアイデアをボウイと一緒に聞いていた彼の役員であるBill Zysblatに電話して、壮大なIMAX体験となるような映画が作りたいと伝えた。
伝記的なものでは全くなく、インタビューもなしで、コラージュみたいな映画にしたいと言ったんだ。
そこでビルが言ったのが、『実は誰も知らないんだけど、デヴィッドは、何もかも保管してきているんだ。しかも自分のアーカイブも全部買い取って、アーカイブをこの20年、30年間作っていた。でも彼は普通のドキュメンタリー映画は絶対に作りたくないと思っていた』ってね。
だから僕は自分がどんな映画を作りたいのかのプレゼンしたら、ビルが気に入ってくれた。彼は僕の作品をローリング・ストーンズの映画『Crossfire Hurricane』や、カート・コバーンの『モンタージュ・オブ・ヘック』で知ってくれていて、それで僕にアーカイブ全てにアクセスさせてくれたんだ。彼が僕に言ったことは一つしかなくて、『デヴィッドはもういないからこの映画を承認することはできない。だからこの映画はデヴィッド・ボウイが語るデヴィッド・ボウイにはならない。ブレット・モーゲンが監督するデヴィッド・ボウイ映画だ。だから君が作りたいように作ってくれ。僕から君へのお願いはそれだけだ』ってね」
●アーカイブには500万のアセットがあった。
「それで僕にアーカイブを全てアクセスさせてくれたんだけど、そこには500万のアセットがあったんだ」
●それをこの5年間で、いかにして映画にしたのか?
監督はその後、自分の人生を見直している時に、ボウイの映像が導いてくれているような気がしたということ。「まず映像を全て見るだけで2年間かかった。それで、どのような脚本にするのか考えるのに1年かかった。脚本を書いている間に心臓発作になり、3分間死んでいた」
●この映画のテーマについて。
「デヴィッドは映画の中で、1971年に21世紀の音楽を作っていると語っている。それがこの映画のテーマの一つでもあって、それはカオスと滅びやさすだ。
彼は1971年の段階で、まだデジタルもないのに、いかに僕らが映像と音で飽和状態になるのかについて語っている。つまり、それを脳がプロセスしようとするカオスが生まれる。だから、デヴィッドは1971年に僕らが今生きている世界のサウンドトラックをもう作っていたと思うんだ。僕らは今ようやくデヴィッドの世界に追いついたんだと思うんだ」
ミュージック・プロデューサー:トニー・ヴィスコンティ
サウンド・ミキサー:Paul Massev, David Giammarco
サウンド・デザイン:John Warhurst
スコア: Nina Hartstone
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