愛と勇気とアリシアと

アリシア・キーズ『アリシア』
発売中
ALBUM
アリシア・キーズ アリシア

2001年、20歳で発表したデビュー盤『ソングス・イン・Aマイナー』がいきなりグラミー賞の栄冠に輝き、その後も順調にキャリアを積み重ねてきたアリシア・キーズ。本作は、そんな彼女にとって実に4年ぶりとなる通算7枚目のアルバム。本来は今年春のリリースを予定していたが、コロナ禍の影響で延期となり、結局9月18日のリリースとなった(ボーナス・トラック収録の日本盤は10月7日発売)。でも、その延期は決してマイナス面ばかりではなかったと思う――アリシアの音楽の根底に宿る「ポジティブな勇気」は、世界がまさに今こそ必要としているものなんだから。

音楽面について言うと、今回のアルバムは原点回帰となったピアノ主体のR&Bサウンドを軸としながら、同時に他のジャンルとのオーガニックな融合も進められ、ここ何作かの中では一番バランスのいい1枚となった。“タイム・マシーン”でのファンク、“ウェイステッド・エナジー”でのレゲエ/ダブ、“グラマシー・パーク”でのカントリーなど、思い切った冒険にも挑んでいるのだけど、無理をしている感はいっさいなく、アリシアの「素」とごく自然に結びついている。そのナチュラルな奥行きこそが、39歳となった2020年のアリシアの等身大のかっこよさである。

過去作と比べると、ミゲルやカリードなど、男性ボーカルとのデュエット曲の存在感が際立っているのも特徴で、中でも最高傑作は、UKソウル・シーンからサンファを招いた“3 アワー・ドライヴ”だろうか。一方で、人種差別と向き合った“パーフェクト・ウェイ・トゥ・ダイ”など、社会問題に目を向けた歌の説得力もさすがで、まさに『アリシア』というズバリな題名がふさわしい、これまでの集大成的な1枚。 (内瀬戸久司)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
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アリシア・キーズ アリシア - 『rockin'on』2020年11月号『rockin'on』2020年11月号
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