端正な歌モノでもノリのいいダンスロックでもいくらでも書けるバンドが、メジャー第1弾シングルとしたのがこの曲だという事実が、なんとも頼もしい。彼らはこの“EDEN”のソングライティングの柱として自身最大のアイデンティティであるサイケデリアを選択し、しかもそれをこれまでよりさらに一段上の濃度まで引き上げてみせている。《ジャイロジャイロ 狂いそう狂いそう/クラゲになって超宇宙》という、安易な意味から逃れつつ見事にサイケとは何かを言い当てたようなリリックが象徴的だが、ここで鳴らされているのは過剰な感情や思想を伝えるためなどではなく、何よりまず気持ちよく酔うことができるための質感を追い求めたロックである。サウンドプロダクションも素晴らしいが、何よりたゆたうドラムワークが極上。そのうえ、曲後半ではそれまでの揺らぎを打ち破るようにラウドにブチ切れる(ギターテックはドミコ!)二重構造まで設けている隙の無さ。これまで彼らが上梓した作品名の通り「21世紀」の「日本」における「革命」が本当にこれから始まるのではないかと、思わず胸が高まる。(長瀬昇)
リアルを揺るがせサイケの霧よ
Tempalay『EDEN』
発売中
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