不変のブルース魂ここにあり

ホワイトスネイク『ザ・ブルース・アルバム』
発売中
ALBUM
ホワイトスネイク ザ・ブルース・アルバム

新編成ベスト3部作は『ザ・ロック・アルバム』、『ラヴ・ソングス』と続き、遂に完結編となる第3弾が到着。ホワイトスネイクと言えば、往年のリスナーにとっては初期の渋味を効かせたブルース・ロック時代を愛してやまない人が多い。本作は1984〜2011年に発表したアルバムから選出されているため、初期作を除いた楽曲チョイスが成されている。とはいえ、デイヴィッド・カヴァデールの原点であり、底流にはいつも「ブルースの心」が息づいているのは間違いない。できれば本作を機にマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフなどの偉大なるブルース・ミュージシャンにも触れてほしいものだ。

内容的には過去2作と同じく、リマスター、リミックス、新アレンジを施している。やはり『スライド・イット・イン』から唯一収録された名曲“スロー・アンド・イージー”はハズせないだろう。御大のブルース・フィーリングたっぷりの歌声と後半にハンドクラップで盛り上げる曲展開は何度聴いても鳥肌が立つ。また、『レストレス・ハート』収録のスロー・ナンバー“トゥー・メニー・ティアーズ”は味わい深いソウルフルな声色を堪能できるし、ソロ名義から選ばれた“リヴァー・ソング”における歌メロも絶品。『白蛇の紋章〜サーペンス・アルバス』からは3曲ピックアップされており、“ギヴ・ミー・オール・ユア・ラヴ”はわかるものの、意外だったのは“ルッキング・フォー・ラヴ”だ。当時の日本盤(米国盤も同様)には収録されず、欧州盤のみで聴けた曲。個人的には隠れた名バラードだと思っているので嬉しい限り。この曲の後に“クライング・イン・ザ・レイン”で本作を締めるのだが、ジョン・サイクス(G)の神がかったギター・ソロがベスト完結編のトドメを刺している。(荒金良介)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。
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ホワイトスネイク ザ・ブルース・アルバム - 『rockin'on』2021年3月号『rockin'on』2021年3月号
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