親密さと内省を湛えたソロ2作目

ヘイリー・ウィリアムス『フラワーズ・フォー・ヴェイシズ / デスカンソス』
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ALBUM
ヘイリー・ウィリアムス フラワーズ・フォー・ヴェイシズ / デスカンソス

エモ/ポップ・パンクのプリンセスと謳われた一頃とは異なり、今やジャンルやジェンダーを超えて熱烈な支持を集めるパラモアのヘイリー・ウィリアムス。フィービー・ブリジャーズやジュリアン・ベイカーなど若手シンガーソングライターから、リル・ウージー・ヴァートや故XXXテンタシオンのようなラッパーまで、彼女へのリスペクトを公言するアーティストは枚挙に暇がない。そうしたなか昨年リリースされた『ペタルス・フォー・アーマー』から僅か9ヶ月。早くも2枚目となるソロ・アルバムが本作になる。

ヘイリーいわく、前作の続編ではなく「前日譚」にあたるアルバムという本作。ダークでゴシックなエレクトロ・ポップの装いだった『ペタルス・フォー・アーマー』とは趣を変え、アコースティック・ギターやピアノの生音が映える本作の音作りは“インディ・フォーク的”といっていいかもしれない。どことなく昨年のテイラー・スウィフトの『フォークロア』も思い起こさせるが、そうした仕上がりとなった背景には、前述のブリジャーズらボーイジーニアスの3人も参加した前作とは違い、本作がヘイリーひとりの演奏によって制作されていることも関係しているのだろう。前作のスタッフが引き継がれたプロダクションはウェルメイドだが、ナッシュビルの自宅でレコーディングされたというサウンドはインティメイトで、メロディや音色の温かみが際立つ。そしてこうした変化は、少女時代の回想やセルフケアに触れ、内省の度合いを深めた歌詞にも窺える。

なお、先日SNS上でのファンとのQ&Aのなかで、パラモアの新曲に取り組んでいることを明かしたヘイリー。4年前の『アフター・ラフター』以来となるパラモアのニュー・アルバムにも期待したい。(天井潤之介)



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ヘイリー・ウィリアムス フラワーズ・フォー・ヴェイシズ / デスカンソス - 『rockin'on』2021年4月号『rockin'on』2021年4月号
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