エレノア・フリードバーガーやクレイグ・フィンのバンドに参加しながらソロで音楽活動を続け、少しずつ注目されつつあるニューヨーク出身のカサンドラ・ジェンキンスだが、この2作目で決定的な評価を得ることだろう。
最近ではテイラー・スウィフト『フォークロア』への参加が話題となったジョシュ・カウフマンをプロデューサーとして迎えた本作は、ブラスやストリングスなど多彩な楽器を加えてカラフルなサウンドを展開しつつ、ジェンキンスのアンビエント・フォークの繊細なバランスを見事に支えている。
オープニング“ミケランジェロ”からノイズ・ギターの生々しさに耳を奪われるが、それが歌の静謐さを壊すことはない。喪失から生まれたビターな歌曲集とのことだが、誰よりも彼女自身によってその感情は丁寧に扱われる。この癒しは、どこまでも優美で、温かい。(木津毅)
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