デビュー時からエレクトロニック・ミュージックにジャズや現代音楽、ポスト・ロックなど広範なジャンルを折衷していくスタイルが注目されたフローティング・ポインツことサム・シェパードだが、本作はなんとサックス奏者ファラオ・サンダースとのコラボレーション。スピリチュアル・ジャズの伝説である。
ロンドン交響楽団によるオーケストラも加わったムーディで緊張感漂うアンサンブルにサンダースの深みのあるサックスが重なることによって、陶酔的な時間が広がっていく。
アルバムは組曲形式となっており、同じフレーズを繰り返しながら次第にディープな音響空間に入っていくのだが、そこでサックスと電子音が密接に絡み合う様は圧巻だ。サイケデリックではあるが、同時に聴き手を覚醒させるクールな響きもある。世代もジャンルも超えて、至高の美が明滅している。(木津毅)
ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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