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昨年のドームツアー「よだか」で新曲として披露され話題を呼んだ、ボカロPのきくおからの提供曲。一聴して即座に耳を惹かれるのは、リリックのほぼ1行ごとに声色が使い分けられていくボーカリゼーションの常軌を逸した多彩さ。「Adoが歌っている」というもはや他ならぬ実績と保証がなければ、加工なしにひとりのシンガーが歌っているとは俄かには信じられないほどのバラエティだ。そして、聴き込むにつれてさらに度肝を抜かれるのが、子音の伸ばし方と切り方、ブレスといった技術によって、ボーカルそのものがグルーヴし、ロールし続けていること。これほど千変万化の歌唱を繰り広げながらも、絶えず、である。ゆえに、《ぶっ壊れてんだ ガラスのハートなんてさ/ア 愛 アアイ アアイ アアイ アアイ 痛すぎてハイ》とサビを締めつつ、《アイ・アイ・ア》と繰り返される流れがたまらなく痛快に響く。そう、壊れた心を抱えながらダンスフロアで今だけを肯定するため、独自の言語で叫び、踊るのだ。ロックンロールはいつでも。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年6月号より)『ROCKIN'ON JAPAN』6月号のご購入はこちら
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