“夜に駆ける”から続くYOASOBIの流れは、まさに駆けているみたいだ。トラックやメロディが性急な曲調も。畳みかけるリリースのペースも。もちろん、様々なコラボレーションをはじめとして活動の幅は広げてきたし、その影響や原作小説に伴い楽曲も色味を増やしてきたけれど、物理的に精神的に、どこかしら「駆けている」イメージは常にあった。
しかし、“もう少しだけ”は、その隙間で彼らが深呼吸をしている楽曲に聴こえた。『めざましテレビ』のテーマソングであることや、原作小説『めぐる。』という外的要因と、彼らがふうっと一息つきたいタイミングが合致したのかもしれない。タイアップだけを考えたら、一日を始める背中を押すために、思いきり駆けていくような楽曲も生み出せたと思うから。でも、この楽曲は、まぶしいメロディと軽やかなテンポで、《もう少しだけ/踏み出せたのなら》《小さな幸せを/見つけられますように》と、いつも通り歩くように歌う。その親しみやすさと、ikuraのカラフルな歌声がマッチして心地好い。YOASOBIがイメージを広げ、グッと私たちに近づいたナンバーだ。(高橋美穂)
駆けないYOASOBIも心地好い
YOASOBI『もう少しだけ』
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