この人を追い続けて20年以上経つもんで、作品のインターバルが開きまくることにも慣れっこだし、ただし新しい音源を聴いて「あっちゃあ、変なほうに行っちゃった」とか思ったことはないし、いまだに多数のファンから熱狂的な支持を受けているし、今以上これ以上のことは、特に望んでいなかった。俳優仕事も順調だし（これを書いている現在も、三浦大輔の舞台に出演中）、そっちでもスベったことはやってないし（昨日その舞台を観た。素晴らしかった）。

ただ、こんな新曲を聴かされると、あらためてこの存在を世に問うていいんじゃないか、もっとでっかいレベルで聴かれるべきなんじゃないか、と、思ってしまう。峯田和伸の、銀杏のソングライティングの中で、最もひらかれていて、最も聴き手を選別しない部分の才能でできた曲。平たく言うと、ファン以外にこそ聴いてほしい、美しくてポップで普遍的な、アップテンポのラブソング。16年半前にジャケットを描いてもらった江口寿史先生がキャラクター原案を務めたアニメの主題歌、というトピックもあり。売れろー。（兵庫慎司）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より