今年、結成10周年&メジャーデビュー5周年というアニバーサリーイヤーを迎えた
SHE'S。前作『Tragicomedy』で描いたピュアな肯定性をさらに力強く、確信をもって表現する5作目のアルバムだ。メロディや歌詞だけではなく、バンドの鳴らすサウンド全体が決然としたポジティビティに満ちている。《It's alright, it's alright/We're imperfect/We're imperfect》――大丈夫、僕らは完璧じゃない、と歌う“Imperfect”、《ありえない明日が ありえるよ/生きていることって そういうものだろう》と背中を押す“If”、「シャララ」というコーラスとともに《生き甲斐なんて大層だ/笑えてりゃ問題ない》というメッセージを眩しく放つ“Do You Want?”。もちろん迷ったり悲しんだりもするけれど、その先で、このアルバムの主人公たちはそんな日々を肯定してみせる。それを鼓舞するのは、どの曲でも楽曲を力強く支えるリズムだ。ドクドクと心臓が脈打つようなリズムが、《どうしてこんなに絶望しているのに/生きていたいんだろう》(“Amulet”)という人間の意思を呼び起こしてくれるようだ。(小川智宏)
『ROCKIN'ON JAPAN』11月号より