2013年にリリースされた映像作品を再現した今春のリバイバルツアーが、早くもパッケージ化される。言うまでもなく、この公演の意義は単なる再演ではない。2012年当時、初めてZepp Tokyo公演に挑んだ9年前と比べて、彼ら3人が立つステージは大きく変わっているし、そこにコロナ禍という新しい文脈も加わっている。今回の映像作品を観て、彼らの「自分たちがかっこいいと信じる最高のロックを届ける」という誠実な信念は、当時からずっと、そしてこの制約の多いライブ環境においても不変であると確信することができた。なお、この映像作品には、10月から幕を開ける全国ワンマンツアーで披露される新曲“Nihil Pip Viper”のCDがパッケージングされる。いまだに続くこの逆境の中においても、いつものように新曲を作り、いつものようにライブで披露する。そうしたロックバンドとしての「普通」のスタンスを見せつけてくれる3人の姿は、僕たちリスナーにとっての希望であり、同時に、たとえどのような苦難に直面したとしても「ロックバンドの物語は続く」という絶対的証明そのものだ。（松本侃士）

『ROCKIN'ON JAPAN』11月号より