すべての道は歌に通ず

ストレイテナー『Crank Up』
発売中
MINI ALBUM
ストレイテナー Crank Up
表と裏、というか、ジキルとハイドというか。ひなっちのゴリゴリのベースサウンドから始まる“宇宙の夜 二人の朝”でキレキレのアンサンブルを轟かせたかと思うと、続く“群像劇”ではロマンティックな詩情とダビーなグルーヴが絡み合い、抑制の効いたアレンジが大人なムードを醸し出す。またまた一転して”倍で返せ!“ではガシガシ刻まれるギターリフを主体にしたUKロック的サウンドを響かせつつ4つ打ちのダンスビートとの異種格闘戦を展開し、“流星群”ではドラマティックなシンセストリングスが切ない感情を昂らせる。異なる顔を見せる曲たちに煙に巻かれた気分になりながら4曲を聴き終えると、聴こえてくるのはラストトラック“七夕の街”の、純粋でセンチメンタルなホリエアツシの歌だ。そこに至って、ストレイテナーとは結局これだ、この「歌」だ、という思いを新たにする。メロディのピュアな煌めき、《終わらぬ旅 帰る場所に/ぼくらがそうなれますように》という誠実なメッセージ。研ぎ澄まされ凝縮されたミニアルバムだからこそ、ここにはテナーのすべてが詰まっている。(小川智宏)

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