メジャーデビューを飾る1stEP。回数を重ねるごとに天井無しに盛り上がっていくサビが強い印象を放ち、またそれを引き立てるホーンアレンジも光る表題曲は、蔦谷好位置のプロデュース。これまでになくねばっこく粘るボーカルと、軽快に跳ねるリズムとのコントラストが非常に快楽性の高いナンバーだ。リリックに目を遣れば、“EVERBLUE”は「自分自身」の心境、スタジアム級のスケールで轟くポップアンセム“By My Side”は恐らくファンを意識したと思しき「君」を含めた「僕ら」についてのものとなっている。また、別れ際の男女の物語を女性目線で丁寧に綴ったバラッド“クロスワード”は恋人「ふたり」の関係、そして、歌メロの極上の高級さをまっすぐ表した銀杏BOYZカバー“漂流教室”は、「3人の少年」の友情がモチーフだ。つまり、この4曲において彼らは、すべて異なる関係性について歌っているのである。戦いの場を広げるこのタイミングで、十人十色の様々な状況に置かれる、できるだけ多くの他者にリーチするために。Omoinotakeは、正しきポップの道を進んでいる。（長瀬昇）

『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より