優れたポップソングが抱く魔法のひとつに、時代性や地域性を意識させる固有名詞や言葉遣いが使われる歌ほど、時代や地域を超えた普遍性を持ち得る、というのがある。リアルな歌ほど壁を突破するということ。reGretGirlはまさに、固有の体験や感情を普遍的なポップソングへ昇華させる手腕に長けたバンドだ。
本作は、平部雅洋(Vo・G)の地元、大阪・和泉府中を舞台にした4曲入りのコンセプトEP。地元の商店街を写したジャケットのアートワークや『生活e.p.』という単刀直入な作品タイトルが示すように、写実的であることにこだわりながら、バンドが突き詰めてきた「失恋」というテーマを掘り下げた一作。たとえば1曲目“ロードイン”における《遅延する阪和線に少し待たされて》というラインに見られるように、歌詞表現の写実性の豊かさによって、内面描写やストーリーテリングだけでは辿りつけない生活感と皮膚感覚を楽曲に刻み込むことに成功している。結果としてこの4曲は、生々しく、そしてポップに、「生きること=失うこと」という、「生」と「恋」の真理を描き得ている。(天野史彬)
生きること=失うこと
reGretGirl『生活e.p.』
発売中
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EP