彼岸まで燃やし続ける悲願を胸に

THE BACK HORN『ヒガンバナ』
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THE BACK HORN ヒガンバナ
静寂から一瞬でMAXボルテージの轟音まで振り切るダイナミズム。粗暴にしてキャッチーなギターリフ。音数の多いアンサンブルの中でなお激しく主張する歌うベースライン。どこまでもまっすぐに聴き手をアジテートするボーカル。それら強烈な個性を支える温かみのあるドラム。このわずかおよそ3分の“ヒガンバナ”には、バックホーンがこれまで積み上げ、磨き上げてきたストロングポイントがこれでもかと凝縮されている。そして、菅波の作曲とバンドの演奏が彼らのキャリアの重みを思わせる一方、松田によるリリックは挑戦し敗れた者をテーマにしつつ《諦めさえも 踏み潰して/何度でも 歩き出せ》《悔しさを 真っ赤に染めてゆけ》と強く鼓舞する内容で、前作シングル“希望を鳴らせ”との連続性を感じさせるものになっている。そう、曲中に自らの過去と現在を並列に包含することで、勝ったこともそうでなかったこともすべて抱えて進み続けろという曲のメッセージに強烈な説得力を与えているのである。立ちふさがる数多の苦難を一つひとつ打破してきたバンドだからこそ鳴らせた、気高き闘いの歌だ。(長瀬昇)

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