消費されることのない輝き

KALMA『ジェットコースター』
発売中
DIGITAL
KALMA ジェットコースター
「ジェットコースター」というタイトル、そして、それを演奏するのがKALMAだと知れば、疾走感溢れるパンキッシュな楽曲を想像してしまいそうになるが、届けられたのは清廉としたメロディがそよ風のように吹き抜ける、端正なポップセンスが光る一曲である。

改めて、KALMAがこの時代において如何に稀有な存在かを実感する。彼らはきっと、世間に「新しいもの」だと認識される必要性も、自分たちの奇抜さを世の中に知らしめる必要性も感じていない。ただ、懐かしくも美しい、自分たちの信じるメロディを堂々と響かせればいい――そんな自然体かつ肝の据わったスタンスで、バンド人生を謳歌している。その姿勢が、この時代の混沌と喧騒の中でKALMAを特別なものにしている。そう、急がなくてもいいのだ。急がずとも、日々は、人生は、自ずとジェットコースターのように走り出す。《どっかで聴いた フレーズがずっと 僕の日々を彩る/それでなんとか今日だって 世界が素晴らしくおもえる》――この一節は、KALMAの音楽がどういうものであるかを示した一節のようにも思える。(天野史彬)

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