音の面白さを知っているバンド

Ivy to Fraudulent Game『Singin'in the NOW』
発売中
ALBUM
Ivy to Fraudulent Game Singin'in the NOW
複数の音色、響き、フレーズを組み合わせることによって奥行き深い世界を生む表現=音楽の面白さを、人力演奏が主体のロックバンドとして存分に示してくれるのが、Ivy to Fraudulent Gameだ。murffin discsでの活動を昨年からスタートした彼らの最新アルバムは、そういう魅力を一際力強く形にしている。アルペジオやコードの響きが生む色彩的イメージ、各楽器の間合いから醸し出される艶めかしいグルーヴに耳を傾けるのが楽しい。爽やかな躍動感の根底に切なさがある“泪に唄えば”、轟音の中に優しさが宿っている“Day to Day”などは、そういう作風をストレートに体感するのにうってつけだ。以前から十八番としているシューゲイザー的な音作りを活かしつつ、メンバー各々が作詞作曲編曲を積極的に担い合いながら作風の幅を広げているのも感じる。このバンドのライブに行くと音を浴びながら胸の奥を昂らせている観客のものすごい集中力を肌で感じる瞬間が度々あるのだが、今作もそういう空間をますます作り上げると思う。彼らから放たれる音は、どれも一貫して想像力をじっくり刺激してくれる。(田中大)

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