底知れない伸びしろ

羊文学『our hope』
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ALBUM
羊文学 our hope
約1年半ぶりの2ndフルアルバムは大いなる進化作だ。これまでにないリズムとビートのパターンが聴こえる“電波の街”、ニューヨークパンクのような手触りの“金色”、軽やかで広がりのあるコーラスワークが入った“パーティーはすぐそこ”――。中でも、シンセがゆらめく長いイントロの中で宇宙船を思わせるカウントダウンが始まる“OOPARTS”は羊文学=オルタナロックのイメージを大幅に刷新するサウンドアプローチだ。

塩塚モエカ(Vo・G)の半径5メートルの世界におけるノンフィクションを文学にしたような印象があった歌詞の視点も一気に広がった。オープニング曲の“hopi”の《僕は誓う、君を守る》というストレートなフレーズを皮切りに、時折力強いメッセージが躊躇なく放たれる。躍動するオルタナロック“光るとき”では、《混沌の時代》や《最悪な時代》といったワードを出しながらも、《君たちはありあまる奇跡を/駆け抜けて今をゆく》と、多くのものを肯定し、パワフルに生き抜こうとする。全方位的にまだまだ新たな展開が生まれる予感に満ちており、底知れない伸びしろを感じる。(小松香里)

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