ギターの響きを前面にフィーチャーした“ホームラン”や“サラブレッド”、エレクトロとバンドサウンドの高次元の邂逅が印象的な“死神”など、計6曲を収録したBBHFの新作EPのコンセプトは「生」。といっても、がむしゃらに生への渇望やなりふり構わぬ希望への執着を綴るのではなく、それこそ神様と死神が普通に日常に共存する――希望や絶望といった両極ではなく、その振り幅の中でのスリリングな綱引き状態こそがリアルな「生」である、という現実を、尾崎雄貴の楽曲は残酷なまでに美しく透徹した筆致で描き出している。
《僕らぜんぶなくした気になって/おっことした火花をまだ探して そこにいるんだろう/ねぇ どこまでいける》……本作の最終曲“バックファイア”のラストはそんなフレーズで締めくくられている。夢を追うために費やした時間の重みと、それでも尽きることなく燃え盛る想いの眩しさを、アコギの響き&クラップのリズムとともにハイブリッドな音の絶景へ編み上げてみせたこの曲は、あたかも高純度な福音の如き包容力をもって、頭と心に染み渡ってくる。(高橋智樹)
神様も死神も俯瞰する「生」の音楽
BBHF『13』
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