東京を拠点に活動する若き5ピースバンドのメジャーデビューアルバム。既に88risingにもフックアップされているというし、実際、YouTubeのコメント欄には日本国外からのコメントも多数見られるが、しかし、このCody・Lee(李)が奏でるのは、意図的な海外志向によって作られた音楽というよりは、むしろ強烈に日本文化の「訛り」を持ったバンドポップである。彼らはミッシェルやモーサムのCDが転がる部屋で『ゴッドタン』を観て笑い、ちょっと感傷的な気分になれば大滝詠一でも聴きながら江ノ電に乗る……そんなライフスタイルを歌っている。この土着的なリアルとファンタジーを屈託なく綴る筆致がむしろ日本国外の人々にも受け入れられるのだろうし、彼らの音楽が宇多田ヒカルの横にあってもなんら不思議でない理由もここにある。
あるいは、15年ほど前に銀杏BOYZが教えてくれたものを、今、Cody・Lee(李)が若者たちに伝えているのかもしれない。恋と退屈とロックンロールをどう生きるか。彼らは暗闇を歩くようなこの人生に対しての小さな革命の起こし方を、音楽を通じて伝えている。(天野史彬)
降り積もる恋と文化
Cody・Lee(李)『心拍数とラヴレター、それと優しさ』
発売中
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ALBUM