現在の編成による2枚目のアルバム、全員が作曲――といった点が示す通り、変化を経たヒトリエが3人での活動スタイルを一層揺るぎないものにしたことがよくわかる作品だが、それ以外の要素として印象的なのは、やはりサウンドだ。「こんなにも踊れる音を奏でるバンドだったんだ!」と、本作を聴くと強く感じる。特に前半の5曲は、極上のダンスミュージックと言い切って紹介することに全くためらいを覚えない。サイケデリックな音像でクラクラできる“Flashback, Francesca”、和メロっぽいのにコサックダンスを踊りたくなる“ゲノゲノゲ”、胸をキュンキュンさせながら身体を揺らせる“風、花”、どう考えても名曲な“Neon Beauty”、レトロフューチャーな世界に浸れる“電影回帰”……この5曲の展開が美しい。そして、ギター、ベース、ドラムの音の交わし合いがスリリング極まりない“Flight Simulator”を皮切りに、後半では肉体的なバンド色が急速に増す。4つ打ちに限定されない「踊れる音」を多彩に示していると同時に、ロックバンドとしての熱量もダイナミックに突きつけてくる作品だ。(田中大)
ダンスフロアもホームグラウンド
ヒトリエ『PHARMACY』
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