混沌を滲ませるアブストラクトなトラックが不穏さを描き、そこにどこか悟ったような野田洋次郎の歌声が乗り、自身の孤独と葛藤と対峙しながらも、人の数だけ存在する多種多様な状況や感情のなるべく多くに視線を放とうとする。冷静でありながら熱情を湛えたようなエレクトリックなサウンドデザインは、ゲイルの大ヒット曲“abcdefu”やリンキン・パークのマイク・シノダの楽曲で知られるプロデューサー・Pete NappiとRADWIMPSがタッグを組んで生み出した最新型だ。
21年もの間、楽曲を通して「生きるとは?」「人間とは?」「自分とは?」と問いかけ続けてきたRADWIMPSの表現が、弁護士&パラリーガルのコンビが様々な社会問題に挑むドラマと出会ったことで、より枝葉が広がった。ジャケットに使用された野田の眼球を加工したビジュアルからもまた、世界の本質を見透かそうとする強い意志を感じる。(小松香里)