©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会アルバム『狂言』によって、表現レンジの幅広さと支持の大きさをまとめて証明してみせたAdo。あれから約半年を経て届けられるのは、アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』でオリジナルキャラクター=ウタの歌唱パートを担当したAdoによる、主題歌&劇中歌の7曲を収録した作品。『狂言』ではインターネット音楽シーン出身の才気を集結させ世代感覚を強くアピールしたが、今回は話題の大作映画に相応しくメインストリームの優れた作家陣に支えられた作風だ。楽曲提供は主題歌“新時代”を担当した
中田ヤスタカをはじめ、
Mrs. GREEN APPLE、
Vaundy、FAKE TYPE.、澤野弘之、
折坂悠太、
秦 基博という強烈な顔ぶれ。作家陣は荒波のように猛り狂う激情や信念の美の歌をしたため、むしろAdoのタフでふくよかな歌唱表現に挑むように厚みのあるサウンドをデザインしている。この顔ぶれの中で堂々エレクトロスウィングの個性を引き受けてみせたFAKE TYPE.もすごい。ただ映画のテーマ曲集というだけではなく、ポップミュージックの担い手たちがこぞって現行カルチャーの象徴を打ち立てた作品だ。(小池宏和)
『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より