今年8月にリリースされた2ndアルバムには自身初の作詞作曲楽曲を収録し、その後もミュージックビデオの初監督や初のダンスに挑戦するなど、アーティストとしての可能性を伸ばし続けるyama。表題曲はタイアップ作品の内容を継承しながらも、他者との交わりで新たな色を得てきた本人やその喜びを体現する楽曲と言えるだろう。爽やかでバウンシーなトラックに乗るのは、感傷的で滑らかなメロディと日本語ならではの小気味よい語感。透明感のあるボーカルも相まって、一言一句が鮮度を保ったまま聴き手の感性に飛び込んでくる。洗練されたムードと直感的な無邪気さを融合させ、輝きを生み出すというギミックも粋だ。

本人が作詞作曲を手掛ける“愛を解く”は人を思うゆえの高揚が落とし込まれたスタイリッシュな音像と繊細なファルセットが琴線に触れる。主人公が歌手を志すまでの心情を綴った“新星”は、新しい世界へと踏み出す際の生々しい心の機微が麗しい。3曲に共通するのは、戸惑いを抱えながらも自分の信じる方角を目指していること。気高い歌声が、その意志を清らかに彩る。（沖さやこ）

『ROCKIN'ON JAPAN』12月号より