どんどん遠く、どんどん近く

syrup16g『Les Misé blue』
発売中
ALBUM
syrup16g Les Misé blue
『delaidback』から5年ぶりのニューアルバム。2021年11月に行われた、本編すべて新曲というライブで披露された楽曲をブラッシュアップしたものに、書き下ろしの2曲を追加した全14曲が収められている。脳内にとりとめなく溢れてくるような言葉を歌いながら、《診断書 死んだっしょ》と、ニヒルなユーモアに帰結する“診断書”など、五十嵐隆(Vo・G)の世界観は、ずっと、揺れることから揺らがない。キャリアを重ねるごとにメロディが美しくなり、中畑大樹(Dr)とキタダマキ(B)のリズムが的確になればなるほど、それは際立ってきたと思う。“In My Hurts Again”では、《大気圏》と《お煎餅屋》が並ぶという、想像力の圏外に飛翔。でも、最後の2曲では《あなたに歌う うた》、(“深緑の Morning glow”)、《ひとりの世界は/ひとりじゃないから/ひとりの世界は/仲間がいっぱい》(“Les Misé blue”)と、ちゃんと隣に着地する。翻弄するほどに世界観を広げながらも、そこに共鳴するリスナーは独りよがりではないと、きちんと伝えてくれているようで、いつになく温かみを感じてしまった。(高橋美穂)

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