the telephones、涙の「Last Party」完全レポ! サカナ、9mmら盟友と迎えた「DISCO!!! 10年史」大団円!
2015.11.07 12:00
2015年11月3日、the telephonesの活動休止前ラストライヴとなった「the telephones Presents “Last Party ~We are DISCO!!!~” 」がさいたまスーパーアリーナにて開催された。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。
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the telephonesが、活動10周年となる2015年いっぱいでの無期限活動休止を発表したのは、2014年12月23日のワンマンライヴのステージ上ことだ。同時に初の武道館公演開催も発表され、これがワンマンとしては目下最後のステージとなっている。ベスト盤と通算7作目のフルアルバムをリリースし、多くのイベントや大型フェス出演をこなし、彼らが休止前最後の舞台に選んだのは、さいたまスーパーアリーナでの華やかなパーティであった。同世代の戦友、そして地元・埼玉出身のバンドを招き、何よりも多くのファンのために用意された機会(でなければ、「Last Party」というタイトルにはならないだろう)。徹頭徹尾、リスナー/オーディエンスのためのロックを鳴らし続けてきた、テレフォンズらしい1日である。
開場時からGetting Better+FREE THROWという、テレフォンズと縁の深いDJチームによるバック・トゥ・バックが繰り広げられ、いよいよ本編、というときに鳴り響くのは“happiness, happiness, happiness”。テレフォンズの登場SEとして馴染み深いナンバーである。ステージには石毛輝(Vo・G・Syn)、長島涼平(B・Cho)、岡本伸明(Syn・Cowbell・Shriek)、松本誠治(Dr)が姿を見せ、石毛のハイトーンが「Last Partyyyy!!」とアリーナ一杯に届けられた。楽しそうな表情でシンプルに感謝の思いを伝え、来場者と共に「開会宣言DISCO」コールを巻き起こすのだった。
ライヴパフォーマンスのトップ出演は、埼玉で結成された経緯を持つ凛として時雨。昼から、ステージを朱に染めて空気を切り裂くようなサウンドが繰り出され、345(Vo・B)のヘヴィなベース音に支えられた“DISCO FLIGHT”は、高速ファンクグルーヴの中に明瞭な歌のフックを残してゆく。ピエール中野(Dr)はディスコ繋がりということで「チョコレイト!」「ディスコ!!」のコール&レスポンスを巻き起こし、一方TK(Vo・G)は「今日は、最高のイベントにご来場いただきありがとうございます。高い声に始まり、高い声に終わる1日、最後まで楽しんでいってください」と言葉を伝えると、クレッシェンドし続ける“傍観”でステージを締めくくった。
鮮烈極まりないメロディックパンクのハーモニーで“Riot”を切り出したのは、こちらも埼玉発の先輩格dustbox。JOJI(B・Cho)は「Last Partyだって。どういうことだよ」と告げ、盟友DOACOCKの7110をキーボード奏者として迎えると、テレフォンズのトリビュート作に収録された“A.B.C.Disco”カヴァーを男気たっぷりに披露する。テレフォンズの石毛やノブも飛び入りした。コーラスをレクチャーして“Here comes A Miracle”で大きな歌声を巻き起こし、最後にはSUGA(Vo・G)が「あいつらと2マンやるって約束が、まだ果たせてないんだよ! いつか、それを果たせる日が来ることを願って!」と語り、“Jupiter”が繰り出されるのだった。
テレフォンズを兄弟・双子のようなバンドと呼びながら、黒煙を巻くロックンロールの時間を育んだのはTHE BAWDIESだ。新曲“SUNSHINE”の温かいサウンドとメロディを降り注がせ、“HOT DOG”前の寸劇で『三匹の子豚』をパロディにした影ナレを担当するのはテレフォンズ・松本。トリビュートの“sick rocks”も届け、ROY(Vo・B)は唐突にトイレに走る素振りを見せたのだが、「ごめん、お待たせ!」と戻ってきたのは、THE BAWDIESとお揃いのスーツで決めたテレフォンズ・長島。彼がベースを受け持つ“JUST BE COOL”は強烈にグルーヴィで、最後にはTAXMAN(G・Vo)のお株を奪う「ワッショーイ!」コールも巻き起こしてしまった。
紗幕スクリーンに渦の模様を浮かび上がらせ、“生きているよりマシさ”のヘヴィなエモーションを音像化してゆくsyrup16g。五十嵐隆(Vo・G)は埼玉出身だが、テレフォンズの活躍が広く世に伝わり始める頃に一度活動を休止していたシロップを思い返すと、感慨深い。思いを引きつらせるような昂ったトーンで叫ぶ“神のカルマ”、凄絶な“リアル”とパフォーマンスが続き、「えと……テレフォンズとは、いつも入ってるスタジオが一緒だったりして。でも、全然世代が、ちょっと違って。今度は、ちゃんと話したいと思います。皆さんと同じように、彼らが帰ってくる日を待ちたいと思います」と五十嵐が告げ、何か思いを残すように“Reborn”が届けられた。
ここで再びテレフォンズの4人が揃って登場し、「時雨とシロップには、僕たち要らないですね。世界観壊すだけですからね」と笑いを誘う。そして9mm Parabellum Bulletは、“反逆のマーチ”を皮切りに4人がデッドヒートを繰り広げる“The Revolutionary”までを駆け抜けると、菅原卓郎(Vo・G)は「音楽が鳴ってるところで踊りながら泣くのは、最高にエモーショナルで美しい絵になると思うぜ。じゃあ、猿のように踊ろうか!」と呼びかけ、テレフォンズ・ノブもカウベルで参加の“Monkey Discooooooo”をぶちかます。一方、「帰ってくる頃には居場所はないかもしれないぜ、へへへって気持ちもあるわけさ。一人ぐらい言う奴がいた方がいい。みんなもっと、早く帰って来いよって言った方がいいぜ?」と愛の挑発を投げかけ、「俺たちのDISCOを受け取ってくれ!」と“Discommunication”で熱く締めくくるのだった。
そしてラストダンスのためのバトンを繋ぐのは、サカナクションである。エレクトロニック編成からバンドグルーヴの意義へとシフトする“ミュージック”、レーザーがバシバシ飛び交う“夜の踊り子”、石毛とノブが飛び入りして「DISCOOOO!!」の声が上がる“アイデンティティ”と鉄板のキラーチューン連打で、“Aoi”のシンガロングも凄まじい。山口一郎(Vo・G)は「やっぱ仲いいね。バンドはね」と語りながら、サカナクション、the telephones、ogre you assholeを中心に切磋琢磨してきた「version21.1」シリーズを振り返り、テレフォンズに“新宝島”を捧げた。コミカルなまでに楽しく、刺激的なフレーズで意志の迸りを描く、最高のメッセージだ。
さあ、泣いても笑っても、これが活動休止前最後のテレフォンズである。休止が発表されたときのビデオで幕を開け、「みんなありがとう! 最後まで楽しもうぜ!」と告げる石毛が「We are DISCO!!!」コールを巻き起こすと、初っ端の“HABANERO”では情感豊かなシンセ、バキバキのボトム、そしてロック全開のギタータッピングと、4人の培ってきたスキルが惜しみなく注ぎ込まれる。本家“sick rocks”の鬼リフ乱舞に続いては歌声を誘う“D.E.N.W.A”、さらに“Baby,Baby,Baby”でのノブは通路からアリーナ席までを走り回る流石の奔放さを見せるが、こんなとき、長島&松本のリズムセクションはその音の雄弁さで楽曲を支えてくれる。
「埼玉県北浦和から……2つ隣の駅からやってきました、the telephonesです!! こんな素敵な場所を持てたことを、幸せに思います!」と告げ、同世代や同郷バンド、そして大勢のファンと紡ぐ1日に感慨を寄せる石毛だが、「いっか、曲やるか! 踊りたいよね!」と溢れる思いを抑え込もうとする素振りが健気だ。ウェットなレイヴ感に包まれる“SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!”から、壮麗なサウンドスケープで描き出される“Homunculus”までの流れは、確かに華やかなのだけれど余りにも情緒的かつドラマティックで、「プロなんだけどさあ、なんて言っていいか分かんねえや。人生で、なかなか味わえない気持ちをさせてもらってます」と狼狽え半分な石毛である。
ノブが「めでたい日だから」とシルバーのミラーボールシャツをゴールドに着替えて歓声を誘う間にも、石毛は「いやあ、今日のMCひどい! 結成10年で一番ひどい! 反省を思い出せ俺! 2009年を思い出せ!」と必死に感情をコントロールしようとするのだが、そんな姿を目の当たりにするほど、こちらもセンチメンタルな気持ちになるのは言うまでもない。ところが、“I Hate DISCOOOOOOO!!!”以降のDISCOヒッツ乱れ撃ちの一幕では、石毛のハイトーンヴォイスにも一層の昂りが加えられて、素晴らしい熱狂が育まれていった。“Keep Your DISCO!!!”の終わりに、「世界は変わったーーっっ!!」と勢い任せに叫ぶ石毛。“Monkey Discooooooo”では色とりどりのバルーンがフロアに投入される。
「みんな、しばらくDISCOって叫べなくなるよ。叫んだことがある人だけの特権です」と、エリアごとに“We are DISCO!!!”のコールを導き、「ありがとう。最後、愛とDISCOと10年間を込めて、皆さんに捧げます」と披露される本編最後のナンバーは、もちろん“Love & DISCO”だ。「10年間ありがとう!!!」のメッセージが書き込まれた大きな飛行船が中空をゆっくりと旋回し、アリーナ中央に設置されたミラーボールの脚が伸びて、煌きながら高く高く上昇する。4人が立ち去った後、アンコールの催促とばかりに、止まらないDISCOコールが会場全体から上がっていた。
再び姿を見せると、とにかく自分たちの力だけでここに立っているわけではない、ということを強調しつつ、あらためて感謝の思いを伝える。また松本は、2011年のたまアリ公演時に、大きなスクリーンが用意されていなくてモヒカンを見て貰えなかったと、バッチリ立ち続ける真っ赤なモヒカンのリベンジについて嬉しそうに語った。そして石毛。「テレフォンズは、間違いなく日本のシーンを面白くしたと思います。いい音楽は、いいんです。好きな音楽を自分で選んでくれたら、かっこいいと思うよ。みんながミーハーだと、ミーハーなバンドが増えると思います。みんながかっこいいバンドを好きなら、かっこいいバンドが増えます」。それは、テレフォンズが体現してきた、「リスナー/オーディエンスが主役の時代」を象徴する言葉だ。
「これからも、音楽続けますね?」「はい!」「はい!」「はい!」石毛の問いかけに3人がはっきりと答え、アンコールは“Urban Disco”が、そして新作から“Something Good”がプレイされる。「ベース、長島涼平! ドラムス、松本誠治! シンセサイザー、ノブ! ギターヴォーカル、石毛輝! 不器用な、不器用な4人組、the telephonesでした!」。スタッフやPAチームらも交えて記念撮影を行い、4人は“Thank You DISCO!!!”が鳴り響く中、ゆっくりとアリーナ通路を歩き回って、ファンと触れ合い、そして去っていった。決して、嬉しい、楽しいばかりではなかったけれど、最後にはみんなが笑顔を見せていた。アリーナに何度もこだました「We are DISCO!!!」は、今も耳の奥にこびりついている。(小池宏和)
〈セットリスト〉
・凜として時雨
01. SOSOS
02. DISCO FLIGHT
03. Enigmatic Feeling
04. Who What Who What
05. I was music
06. Telecastic fake show
07. 感覚UFO
08. 傍観
・dustbox
01. Riot
02. Break Through
03. Bird of Passage
04. Bitter Sweet
05. A.B.C.Disco
06. Dance Until Morning
07. Right Now
08. Here comes A Miracle
09. Hurdle Race
10. Tomorrow
11. Jupiter
・THE BAWDIES
01. NO WAY
02. YOU GOTTA DANCE
03. IT’S TOO LATE
04. SUNSHINE
05. HOT DOG
06. sick rocks
07. SING YOUR SONG
08. JUST BE COOL
・syrup16g
01. 生きているよりマシさ
02. Sonic Disorder
03. 生活
04. 神のカルマ
05. パープルムカデ
06. リアル
07. Reborn
・9mm Parabellum Bullet
01. 反逆のマーチ
02. Answer And Answer
03. The Revolutionary
04. Monkey Discooooooo
05. Black Market Blues
06. Cold Edge
07. 新しい光
08. Discommunication
・サカナクション
01. ミュージック
02. アルクアラウンド
03. 夜の踊り子
04. アイデンティティ
05. ルーキー
06. Aoi
07. 新宝島
・the telephones
01. HABANERO
02. sick rocks
03. D.E.N.W.A
04. Baby,Baby,Baby
05. SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!
06. electric girl
07. A.B.C.DISCO
08. Homunculus
09. I Hate DISCOOOOOOO!!!
10. oh my DISCO!!!
11. Keep Your DISCO!!!
12. Monkey Discooooooo
13. Love&DISCO
(encore)
14. Urban Disco
15. Something Good
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