クリープハイプは本来的にサイケデリックなバンドである。ただクリープの「サイケ感」とは、いわゆる1960年代的なドラッギーなサイケではなく、たとえば漫才や落語のような演芸に触れた時に感じる種類のサイケデリアに近い。わざわざクスリでぶっ飛ばなくたって、「ほら、あなたと私がいるだけで、こんなにも世界はグニャグニャにひん曲がっているでしょ?」――とでも言うようなサイケ感。人と人は、どれだけわかり合えているようでも案外ズレているものなのです。そんな「ズレ」を真っ直ぐに見つめ続けたバンドだから、彼らはこのグニャグニャに曲がった世界に向かって強烈なストレートパンチを放つことができてきた。
3月に行われるアリーナツアーと同名を冠した新曲“本当なんてぶっ飛ばしてよ”は、そんなクリープの「グニャグニャだからストレート」な魅力が際立った一曲。チャカポコと鳴るビートと軽妙で可愛らしいギターのサウンドが鮮やかに映える陽気なファンクポップ。そこにオノマトペも効果的に使った歌詞が乗ることで、当たり前の様に複雑怪奇な、人と人の時空が立ち昇る。(天野史彬)
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グニャグニャな世界にストレートパンチ
クリープハイプ『本当なんてぶっ飛ばしてよ』
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