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Teleは谷口喜多朗によるソロプロジェクトであり、詩人としての評価が高いけれど、新曲“金星”はギターロックとしても秀逸。2000年代の、エモをルーツにしたいわゆるギターロックのムーブメントに触れている人なら、おっ、と思ってしまうイントロ。そして、一瞬ブレイクを経てのサビの、切ないほどの爆発力。さらに後半の、ユニゾンからの疾走。ドラムはタッタカタッタカ駆け、ギターはウィンウィン泣きまくる。こんな展開のアレンジを聴かされたら、こっちも駆け出したくなるし、泣いちゃうよ! もちろん歌詞も印象的で、《明日また暗がりへと消える君をおいて、/最終駅、改札前、僕は両手に夜風を隠した。》という、情景が見えるようで想像も巡らせる、文学的なフレーズが並んでいる。そんな完璧な仕上がりながら、作為的には感じられず、あくまでピュアに聴こえるのだ。私はバンドにはバンドだけのマジックがあると信じているけれど、Teleは、そこにひとりでギリギリまで迫ることができる、稀有な才能があると思う。(高橋美穂)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
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