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デビュー10周年を迎えた昨年、制作費をクラウドファンディングで募り見事最大目標値を上回る額が集まった結果、宇宙まお曰く「妥協のない最強の布陣で」制作できたという3作目のフルアルバム。その言葉通り、サビでの独特なギターとコーラスの重ね方が味わい深いオカモトコウキ編曲の“飛来”や、リバーブがかったサイケデリックな音像のGlider栗田兄弟編曲の“Kitchen society”、ホーンやストリングスが幾重にも絡み合うアンサンブルが美しい河野圭編曲“誰もいない”など、曲ごとに方向性の異なる、しかし総じて高品質のアレンジが施されており、決して耳を飽きさせない。当然ながら、基盤となる彼女の曲作の充実あってのことであるわけだが、リード曲でもある“街の灯り”の仕上がりっぷりは特に凄まじい。高級感さえ感じるエバーグリーンなボーカルメロディに対しジャズマナーのどこかフラジャイルなビートを掛け合わせ、普遍性と前衛性を高度に同居させたポップソングのある種の理想形にまでリーチしてみせている。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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