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《Life is bitter》という思わず口ずさんでしまいたくなるフレーズと細やかなアレンジが行き渡るポップなサウンドアプローチで人生のほろ苦さを描いた“Bitter”で幕を開ける本作を『Worldfly』と名づけたのは、海賊を意味するビッケがついに海外公演へ踏み出し、その経験を楽曲のテーマやサウンドに落とし込んだから。でもあり、作品を通して世界を旅する、というより楽曲そのものが国境を超えて世界中のリスナーに届け!という宣戦布告にも見える。EDMサウンドにシティ・ポップの要素を組み合わせたダンサブルなナンバー“Snake”、シチリアで過ごした仲間との日々をマインドごとパッケージした“Luca”、そして最後に収録された、ピアノと歌のみで構成された“Worldfly”を聴き終えると、ピアノマンとしてデビューした彼のルーツはそのままに、アップデートを重ねながらジャンルレスにポップする精神性はすでに我々リスナーにとっても血肉となり、放たれる楽曲とビッケの「今」に時差がなくなったように思える。それが何より嬉しい。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年12月号より抜粋)
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