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TVアニメ『薬屋のひとりごと』のOPテーマ“花になって”。何かに駆り立てられるようなリズムにあわせ、《〜ない》の止めどないリフレインで感情のリミッターを外し、サビ前のマイナーセブンスフラットファイブの晦渋な響きの連打で逡巡したあと、サビの《花になって》で迎える圧倒的なカタルシス! 長屋晴子(Vo・G)の歌が投げる魔球のようなフォールも、小林壱誓(G)が挑戦したスウィープ奏法も曲の火力をひたすら上げ続け、最後は転げ落ちるピアノとともに爆発。“花になって”がサウンド密集型の楽曲とするなら、カップリングの“夢と悪魔とファンタジー”は放出型の楽曲で、全編を滑らかに支配するpeppe(Key)の超絶技巧のピアノが仕掛け絵本のような立体感のある曲を鮮やかにめくってゆく。2曲とも作編曲にクレジットされている穴見真吾(B)は、今まさに音楽家として脂が乗っているはず。長屋が咲かせる「花」には《毒》が、小林が描く「夢」には《悪魔》が見え隠れしていて、それもまたリョクシャカらしいキャラクター。(畑雄介)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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