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アーティストだけでなくどんな職業の人も「数字」で反響や成果が測られてしまう時代だと思う。令和になって旧来的な価値観が壊された側面もあるが、数字の縛りは強まるばかり。そんな時代にMega Shinnosukeは、数字で測れる価値とか、そもそも物事や行動に「価値」を見出そうとする人間の思考自体に疑問を投げかける。作りたいものを作る。楽しいからやる。とにかく動機の根源と向き合って、それにまとわりついてくるあらゆるものは取っ払おうとする様を見せる。前作から10ヶ月で完成させたニューアルバム『ロックはか゛わ゛い゛い゛』はロックンロール、パンク、ヒップホップ、ローファイ、初音ミクなど、彼が愛する音楽性を幅広く取り入れた11曲で構成。どの曲もこれまで以上に自身の衝動に忠実、かつ、無駄が削ぎ落とされていることで、彼のメロディセンスが際立つ。グッドメロディを活かす言葉の乗せ方と歌、生々しい感情が見えるギター、身体を揺らすビート。磨き上げた本質を差し出されて耳を掴まれる。(矢島由佳子)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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