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bokula.がメジャーデビュー第1弾に選んだのは、意外にも切ないミディアムバラード。この曲を据えたところからして、環境の変化に対しても気負いしないバンドのスタンスが読み取れるし、等身大のbokula.を表すのにはぴったりな1曲だ。自分の夢を追いかける過程で、大なり小なり何かを諦めなくてはならない瞬間が訪れるが、どちらかが間違いなんていうことはない。そのうえで、選ばなかったほうの人生を思い浮かべ、本当にこれでよかったのかなと時々感傷に浸ってしまうのは人のさがなのではないかと思う。この曲には、えい(G・Vo)が実際にそんな人生の岐路に直面し、選ばなかった最愛の人との日々に思いを馳せる様が赤裸々に綴られている。万人受けを狙って書いた曲ではないと言っていたが、たった今夢に向かって片方の道を歩き始めた人にとっては、心強い仲間のような曲となるだろう。そして将来、bokula.というバンドが大きな存在になればなるほど、曲の説得力はさらに増していくはず。そんな日を心待ちにしている。(有本早季)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年2月号より抜粋)
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