『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
横山健は、Ken Bandと共に走り出してから20年近く、パンクロックのみならず、アコースティックやロックンロール、ハードロックなど、そのときのモードの引き出しを開けながらメッセージを届けてきた。そんな中で今回の8thフルアルバム『Indian Burn』は、音楽的なジャンルの引き出しには分けられない一枚になっている。あえてひと言でまとめるなら、ジャンルは「生きること」だ。生きるうえでの激しさや優しさ、弱さや可笑しさ、それぞれの楽曲のテーマを、いちばん伝わりやすい演奏で、2ビートもポップも鮮やかに、技のデパートの如く繰り出している。《誰にも媚びないのさ》(“Heartbeat Song”和訳)と歌っている通り、ブレはない。しかし、ライブハウスから離れざるを得なかった人、怖くて入れなかった人、さらにはライブハウスが見えていない人などもひっくるめて、「生きること」へ連れていこうとしているように聴こえるのだ。心臓を動かすビートが、日々を照らす《magic words》が、燦々と降り注ぐ感涙の傑作。(高橋美穂)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号より抜粋)
『ROCKIN'ON JAPAN』3月号のご購入はこちら