【コラム】横山健はなぜ挑戦し続けるのか?——この半年を描いた『Crossroad』を観て

【コラム】横山健はなぜ挑戦し続けるのか?——この半年を描いた『Crossroad』を観て

「俺、なんとなく昔から、人生60年と思ってるのね。その4分の3が終わってしまったわけよ。だから、『残り4分の1しかないんだな』『ラストコーナー回ったな』っていう感じがすごくある」

今なお絶大な支持を集め続け、パンク最前線をひた走るパンクロックミュージシャン=横山健はしかし、自身の「今」をそんなシビアな言葉で語っていた。そして、同時にその言葉は、特に昨年以降の横山のリミッター外れた挑戦モードを何よりも明快に言い当てるものでもあった。

毎週土曜夜放送のテレビ東京ドキュメンタリー番組『Crossroad』、3月26日のテーマは「パンクロッカー 横山健 46歳 “挑戦し続ける理由”」。昨年9月から今年2月まで行われた『Sentimental Trash Tour』、自身8年ぶりとなる3月10日・日本武道館公演『DEAD AT BUDOKAN Returns』まで、1本1本完全燃焼を繰り返しながら前進するライヴ続きの日々。その合間を縫うようにメンバーとともにスタジオに入り練習に励む風景。さらに、東京スカパラダイスオーケストラとの夢の共演で自身初の日本語詞を歌った“道なき道、反骨の。”のレコーディング――といった怒濤の半年間に、「バンドマン」「PIZZA OF DEATH社長」「父親」などさまざまな角度から迫った名ドキュメンタリーだった。

アルバムセールス100万枚を記録したハイスタの絶頂期から今日まで、常にDIY精神とインディペンデント精神を貫いてきた横山健。そんな彼が、ドキュメンタリー映画、コラム本、写真集、『ミュージックステーション』出演など積極的にメディアに登場する姿に刺激され、かつてのファンが子供連れでライヴハウスに戻ってきた――という現状を、カメラは丹念に追っていく。

時にマイクをオーディエンスに託し、フロア一面の大合唱とともに渾身の一体感を描き出す灼熱のライヴのシーンの中、ひときわ印象に残ったのは、横山がステージから「お願いがあるんだけど、もし子供連れて来てる人がいたら、なんとか来てくんないかな、ここまで。ピックをあげるよ、ギターピック。ギターを弾く道具!」と観客に呼びかけた場面だった。そして実際、満場のフロアを父親に肩車されながらステージ前へ辿り着いた少年たちひとりひとりに、「ギター弾けよ!」と自らピックを渡していく姿に、どうしようもなく胸が熱くなった。

「ここらへんが最後のチャンスかもしれないなって、自分が出て行くんだったら。何か次に残さなきゃ。もう自分はいいから、誰かに新しい可能性を提示してあげられる存在であれば」

横山はパンクシーンの「これから」への想いをそう語っていた。パンクロックを心から愛し、2016年の日本において誰よりもパンクロックのリアルを体現しながら、彼の闘う姿がエゴや欲望とは無縁の、途方もない使命感に満ちている理由を、その映像は改めて明確に物語っていた。(高橋智樹)

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