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アルバム『ROUNDABOUT』では、その音楽性の豊かさで聴き手にとって非常にプレイアビリティの高い音楽家であることを再認識させた。そんな中放たれた新曲は、その認識を超越し作品から受け取れる彼のアイデンティティをまるごと覆すことになる。しかし楽曲以外での彼のパーソナリティを知っていれば、むしろ初めて彼の内面と側面が密接に結びついては綻びを繰り返し、結実したことが窺える。人懐っこくも鋭利でご機嫌と不機嫌が共存するカオティックな世界観こそキタニタツヤの核にたまった澱であり、それを吐き出しながらアニメタイアップとして満点の回答を叩き出す。『戦隊大失格』という作品の本懐を誰よりも理解し、《予定調和の今日が始まる》と歌い予定調和をぶち壊す。リリックビデオの特撮オマージュや子供の声、アニメ尺とフル尺では別の曲かと思うほどに移り変わる構成に驚いていると、強制的にやってくる終演と次回予告。それこそが人生と言わんばかりのアジテーション。次なる一手も期待してやまない。 (橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年6月号より抜粋)
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