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ポップで瑞々しく、甘酸っぱい。omeme tentenの音楽を耳にすると、柑橘系の果物を噛みしめたときのような感覚が胸の中に広がっていく。始まりの初々しさが詰めこまれた1st EP『祈りたちよ』、自分たちがやりたい音楽へグッと踏みこんだ2nd EP『2020』を経て辿りついた今作は、omeme tentenの現在地を示した1枚だ。曇りない声質のボーカルとギターリフ主体のアンサンブルは、彼らの代名詞。“favorite jinx”や“Now & Then”といったアップチューンをエネルギッシュに聴かせることはもちろん、ゆったりとした“うなずいて週末”では物憂げな空気を増幅させる。それでいて、キュートかつキッチュなワードセンスで鮮やかに情景を描くのだから、トキメキが止まらない。《生まれも育ちも最終兵器東京のあなたは》や《街角歌うよメリーポピンズ》といったフレーズは、いったいどこから生まれてくるのやら。リスナーに語りかけるように、自分自身に問いかけるように広がっていくomeme tentenワールドをご堪能あれ。(坂井彩花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年6月号より抜粋)
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