【JAPAN最新号】omeme tenten、オルタナ×ポップが描く最新鋭の希望

【JAPAN最新号】omeme tenten、オルタナ×ポップが描く最新鋭の希望
「心の扉をこじ開ける」でもなく「気持ちの奥底に沁み込む」でもなく、聴き手のこんがらがった感情に寄り添い解きほぐして青空に放ってくれるような、どこまでも痛快で爽快なメロディとボーカリゼーション。一筋縄ではいかないひねくれた魔球のようでいて、こちらの衝動のど真ん中めがけてダイレクトに飛び込んでくるような、一切の虚飾を排したバンドアンサンブル。そして、「オルタナティブなロック」と「聴き手を誰ひとり排除しないポピュラリティ」をすでに両手に携えてしまっている、無限の可能性──。omeme tentenが突き上げる歌とサウンドには、時代の空気感さえも鮮やかに塗り替えそうな、伸びやかな高揚感がみなぎっている。

2022年4月結成、すでに下北沢をはじめ各地のライブシーンで熱視線を集めているomeme tenten。ギターアレンジやリズムなどの随所に洋楽オルタナの影響も感じさせるものの、それらのエッセンスを自分自身の心の機微とともに大きく深呼吸して吐き出すような灯(Vo・G)の詞曲と歌声は、目の前の鈍色の景色にも、どうにもならない現実にも、ポップの浮力と躍動感を与えていくような、マジカルな高揚感を備えたものだ。

4月24日にはomeme tentenにとって1stミニアルバムとなる『The Gourd Ailand』がリリースされる。直近の両A面配信シングル2作品に新曲3曲を加えた全7曲。《昔の話ってずるいと思わない?/今あなたの話を聞きに来たのに》(“Now & Then”)、《いじけた悪夢が言うんだ/「僕は呼ばれただけなのに」/空っぽジレンマ抱いて/どこに行くのさ》(“favorite jinx”)、《まるごと消えてたまるか/怖くなんか、怖くなんかない》(“ブラックホールなう”)……。揺れ動く感情に合わせて自在にメロディと言葉の色彩を変えながら、眩い歌と音像を響かせる楽曲の数々。その音に触れる者すべてを前へ先へと突き動かすロックの生命力が、そこには確かに宿っている。4月28日には野外フェス初出場となるJAPAN JAMへの出演も決定。最高の季節が、ここから高まっていく。

文=高橋智樹
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年5月号より抜粋)



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