個人的な感覚だが、「誰々が◯周年」と聞くと「もうそんなに経つのか」と感じることが多いのに、バニラズの場合は「え、まだ10年?」と驚いた。デビュー早々に頭角を現し、常に最前線で躍動してきたこと。ロックンロール愛を抱き続けながらも、年齢とキャリアを重ねるにつれより深くルーツを掘り進め、一方では同時代の音楽とも呼応しながら進化してきたこと。そうして築き上げた強固なオリジナリティと存在感が、もっと前からいた気がする理由なのだと思う。10年の道程の中では、時に困難やアクシデントにも見舞われた。デビュー直後のメンバー脱退と柳沢進太郎(G)の加入、長谷川プリティ敬祐(B)の事故による長期離脱、コロナ禍──。そのたびに機転と情熱で乗り越えてきたバニラズの歴史は、端的に言うと濃縮されているのだ。 (以下、本誌記事に続く)
文=風間大洋 撮影=西槇太一、マスダレンゾ
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年5月号より抜粋)
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