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映画『青春18×2 君へと続く道』の主題歌。桜井和寿はオファーを受け、脚本を読んですぐ楽曲制作に着手したという。この曲はもはや映画作品の重要な1パーツだ。桜井自身「この映画に関わる上で不純なものは極力取り除いて音楽として抽出した」とコメントしている通り、たとえば物語の内容を意訳したり、自分の記憶に置き換えたり、抽象的な言葉でポップスとしての普遍性を高めるというような、いわゆるタイアップ曲の王道的な作り方を今作では採っていない。純粋に、この歌自体がそのまま物語なのである。だからこそ、「主題歌を手がける上で」という言い方ではなく、「この映画に関わる上で」と桜井はコメントしているのではないだろうか。凛とした気配で響くストリングスサウンド、そのアレンジを手がけたのは、アルバム『SOUNDTRACKS』の楽曲や“生きろ”“ケモノミチ”などでもストリングスアレンジを手がけたサイモン・ヘイル。その音が“記憶の旅人”という楽曲が持つ清廉さを、より際立たせる。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)
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