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ずとまよにとって2度目の「スタジオコロリド」とのコラボレーション。『好きでも嫌いなあまのじゃく』主題歌の“嘘じゃない”は、民族楽器チックな音色が入ったオリエンタルなムードを宿すアンサンブルにACAねのアップテンポなボーカルが乗る。緻密で複雑なサウンドデザインでありながらどこまでもポップに聴かせるテクニックと、スリリングな言葉遊びを織り込んだシャープなラップといい、感情の沸点をじりじりと攻めながら横断するボーカリストとしてのACAねの表現力の奥行きに驚かされる。挿入歌の“Blues in the Closet”はKenichiro Nishiharaとの共作だ。流麗なピアノの旋律にACAねのハミングのような歌が重なり、ポエトリーリーディング調のボーカルパートに突入。一気に深遠な空気を醸成する。フルートやハープのような音が“嘘じゃない”と共振する切ないノスタルジーを形成するが、ここでも肝になっているのはACAねの物語性の強い歌声が生む強い情感だ。(小松香里)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)
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