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今さら言うことでもないのは承知のうえだが、こうして並べて聴くとつくづく規格外のシンガーだ。今作に収められた、2022年3月発表の“永遠のあくる日”以降の約2年間でリリースした13のシングル曲を手がけた顔ぶれは椎名林檎やB'zといったビッグネームから、Vaundy、なとりら近い世代の俊才、ピノキオピーやGigaなどボカロシーンのクリエイターまで多岐にわたるが、AdoはAdoのまま、しかしすべての曲ごとに違った顔を見せている。あらゆる感情を歌声のみで届け切る力はより凄みを増し、とりわけ慈しみや祈りのような表現での進境ぶりは著しい。まさに無敵モードを感じさせる一方で、「人生の中で叶えてきた夢、叶わなかった⻘春を表している」というタイトルやメランコリックなアートワークは、目まぐるしく過ぎていった過去の日々へと眼差しを送るかのよう。海外ツアーや国立競技場ワンマンを経たAdoの「これまで」を克明に記し「その先」へと繋ぐメルクマールであると同時に、間違いなく2024年最重要作のひとつ。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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