H.E.R.O.は前作『オルタネイト・リアリティーズ』(2022年)発表後、オリジナルメンバーのソレン・イテノフ(G)が脱退し、新3人体制でバンドを継続。その翌年にパンテラをヘッドライナーに据えた国内メタルフェス『LOUD PARK 2023』にて、以前と変わらぬ盤石のパフォーマンスで観客の心を鷲掴みにした。
そして、約3年ぶりに届いた4thアルバム『ゴースト・オブ・ユー』は、クリストファー・スティアネ(Vo/G)、ヨハン・ウォーラート(B)、アナス・“アンディ”・キルケゴール(Dr)の新3人体制で初めて作った一枚。聴く前はどんなサウンドで来るだろうと期待と不安が背中合わせの状態だったが、これが文句なしの完成度であり、ネクストステージに突き進んだ会心作である。
今作のリリースに伴い、フロントマンのクリストファーにバンドの状況やニューアルバムの内容について、じっくりと話を聞くことができた。作品の出来には本人も大満足しているようで、誌面に収め切れなかった部分を少しだけ公開したい。
「レコード会社の担当から『今できてる音源でもいいから送ってよ!』と連絡が来ても、返信だけ送って無視したからね(笑)。それよりも、今自分たちが作ってるのはアートであって、これを形にしないことには始まらない!という気持ちだった。外野からのノイズを遮断した状態で最後まで突っ走りたかったし、実際にそういう選択をしたわけさ」(クリストファー)
現体制になり、スイッチを切り替え、新しいH.E.R.O.像に向かって邁進した様子が伝わってくる。今作は歌詞やサウンド面において、前作以上……いや、過去最高とも言える成長と進化が感じられるのだ。1曲1曲のクオリティの高さはもちろん、アルバム全体を通して感情移入を誘う音世界(曲と連動した歌詞も必読!)の構築に成功している。また、某バンドの新作にインスパイアされた話なども非常に興味深い。最新インタビューを読めば、ニューアルバムをより一層楽しめることだろう。(荒金良介)
H.E.R.O.の記事が掲載されるロッキング・オン3月号