10年選手

フェニックス『ヴォルフガング・アマデウス・フェニックス』
2009年05月27日発売
ALBUM
フェニックス ヴォルフガング・アマデウス・フェニックス
エレクトロ・シーンと交わりながら歴史を築いてきた00年代フレンチ・ギター・ポップのバンド、例えばこのフェニックスやタヒチ80らが、10周年を迎えるサマソニにブッキングされていることは実に象徴的なことだと思う。有名な話だが、このバンドの「不死鳥」という名前は、ギタリストのローレンが以前所属していたダーリンというバンドを『メロディ・メイカー』誌に「愚かなパンク」とこき下ろされ、短命に終わってしまったことから名付けられている。ダーリンのメンバーだったトーマとギ=マニュエルは、そのまんま「愚かな(ダフト・)パンク」という名前でエレクトロ・ユニットを結成した。成功の10年の裏側に、こうした生々しい反骨精神が息づいているのだ。

フェニックスの作品には2つの顔があるように思う。どキャッチーな3分間ポップを詰め込むデビュー作や3作目の顔と、実験的要素も盛り込みながらアルバムとしてのトータルの魅力で迫る2作目や今作の顔。僕は後者が好みで、エレクトロニックなインスト曲なども収めた本作は、派手さはないものの貫禄とさえ呼べるような雰囲気を感じさせる、充実の内容だ。(小池宏和)
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