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エモーショナルにグルーヴする菅原圭の歌声を存分に堪能できるEP作品。テーマはずばり「思春期」。《明日が怖くて死にたいそんな気持ちを僕は知ってる》と歌う“深香”の祈りのような歌声に始まり、複雑で不確かな恋心を歌う“不完全に恋”のロックチューンまで、すべて自身の手による作詞・作曲で、大人になりきれない、脆くも愛しいリアルな感情を全6曲で描き出している。“onn”では《君の副流煙で天使になったら後楽園まで飛んでって》と、自分と相手との関係性を煙草になぞらえる文学的な作詞が光る。その情景を表現するようなスモーキーな歌声がまた素晴らしい。“ピンクのチャック feat. 長瀬有花”では2.5次元アーティスト、長瀬有花との共演が実現。教室、学校という閉じた空間で感じる居心地の悪さを静かに暴き出すようにふたりの歌声が響き、「思春期」と一律に称されることへのアンチテーゼまでもがここで表される。その深い歌声のみならず、菅原圭の卓越したソングライティング力に改めて触れる作品である。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年12月号より)
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