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This is LASTの音楽性の地図、その極地を大きく更新する新曲が誕生した。ミニマルな音像の中を、シンプルなギターリフと虚空に向かって呟くような歌だけがじんわりと滲んでゆく、そんな曲である。この手の楽曲といえば、徐々に楽器が増え熱を帯びながら、最後にドラマチックなバンドサウンドが差し込まれカタルシスを迎える――というのが定石だが、“Strawberry”はそのパターンにも当てはまらない。溜めて溜めて、いよいよ……というタイミングで響くのは菊池陽報の声、ただそれだけ。とことん虚飾を排したサウンドによって、LASTというバンドの肉体を貫く背骨――すなわち「歌の良さ」が美しく浮かび上がり、鹿又輝直の引き算によるドラムが肋骨としてその歌をそっと支える。予め定められていたかのようにメロディの星座に配置されてゆく端正な歌詞の終着点は《嘘のない綺麗な愛を誓う》という迷いのない言葉。依存と執着が織り成す愛憎劇を得意とするLASTの物語に、どこまでも清冽な愛が吹き渡ってゆく。(畑雄介)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より抜粋)
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