時の経過とともにバンドがアップデイトされていくように、かつて世に出た既発曲も、時代毎に更新され、そして再リリースされてもいい。そんな理想を抱くミュージシャンは、数知れないだろう。ただ現実はそう簡単なものではなく、再録するためのコストは当然のこと、曲と向き合い、そこに新たな解釈を加えるための体力、スキル、そして創造力など、様々な条件をバンドがクリアしなければ、この理想は現実化し得ないのだ。そういった意味でも、BRAHMANは、このハードルをクリアできる数少ないバンドであり、そして何よりも、この「現実化」が最も待たれていたバンドなのである。

パンクやハードコアという音楽と向き合ってきた人間であれば、絶対に避けられない彼らの初期音源を再録した待望作。“ANSWER FOR…”“BEYOND THE MOUNTAIN”といったライブの定番曲になっているキラーナンバーも収録されているが、そういう「復習」としての聴き方は今作に関しては意味をなさない。なぜならここで鳴る全17曲の「衝撃」は、当時と比較しても完璧に更新されているのだから。（徳山弘基）