【コラム】これが生身のBRAHMANだ。映画『ブラフマン』を今、観なければいけない理由

【コラム】これが生身のBRAHMANだ。映画『ブラフマン』を今、観なければいけない理由

BRAHMANが初めて出演した音楽番組『The Covers』で、彼らが“其限~sorekiri~”を演奏するのを見て、どうしてもすぐに映画『ブラフマン』を観に行きたくなった。幸いにも、タワーレコード渋谷店で追加上映されていることを知り、放送翌日に足を運んだ。箭内道彦氏が監督を務めるこの映画は、監督自らが冒頭で語るところによれば、「BRAHMAN最初で最後のドキュメンタリー」である。7月にリリースされた『其限~sorekiri~』の制作過程を捉えることで、この曲を完成させる意味と、そして、メンバーそれぞれが抱えてきた葛藤や逡巡が赤裸々に映し出されていく。これまであまり語られることのなかった、バンド結成や初期のメンバーチェンジの経緯から、さらには、メンバーの家族やごく近いところにいる関係者、初代ギタリストDAISUKE(現在はパン職人として成功をおさめている)、初代ベーシストNABE(2012年逝去)の肉親へのインタヴューを通して、メンバーそれぞれがどのようにBRAHMANに向き合ってきたかが浮き彫りになっていく。

映画製作から完成に至る話は、『ROCKIN'ON JAPAN』9月号の、渋谷陽一によるTOSHI-LOWへのインタヴュー記事に詳しいので、ぜひそちらを読んでほしいが、この映像はこれまでの、そして今後のBRAHMANを語る上で、非常に重要なターニングポイントを映し出している作品である。TOSHI-LOWはいま、これまで時間をかけて分厚く育ててきた甲殻のようなものを脱ぎ捨て、むき出しの生身をさらけ出したいという思いが強くなっているように思う。プロテクトなしで、自分にも聴き手にもきちんと傷跡が残る歌をうたっていこうという想いが“其限~sorekiri~”には込められている。

また、BRAHMAN独特の楽曲制作の方法を知ることができるという意味でも、このドキュメンタリーは興味深い。先日のテレビ出演でも語っていた「4人、誰かが欠けても、いつでも終わっていいと思っている」という言葉、それが嘘ではないと確認できる映画だった。BRAHMANという4ピースの集合体、その力学。バンドとは、なんと頼もしいものかと、おそらくはTOSHI-LOW自身が一番感じている。(杉浦美恵)
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